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札幌市内の看取り・終末期ケアに対応した介護施設を紹介。医療連携体制、看取りの方針、家族サポート、費用面など、最期まで安心して過ごせる施設の選び方を解説します。
2025/04/28
札幌市の看取り・終末期ケア対応施設ガイド〜最期まで尊厳を守るケアを考える
人生の最期をどこで、どのように迎えるか。これは本人だけでなく、家族にとっても重要な問題です。特に高齢の親御さんの終末期ケアについて考える際、「看取り」に対応している施設を探すことは大きな課題となります。本記事では、札幌市内の看取り・終末期ケアに対応した施設の種類や選び方、費用、家族の心構えなどについて詳しく解説します。
看取り・終末期ケアとは
看取り・終末期ケアとは、人生の最終段階にある方に対して行われる医療やケアのことです。単なる医療的ケアだけでなく、その人らしい最期を迎えるための総合的なサポートを指します。
看取りケアの基本理念
看取りケアの基本理念は、「その人らしさを最期まで尊重する」ことにあります。
尊厳の保持:
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- 本人の意思を最大限尊重する
- プライバシーを守る
- 自己決定権を尊重する
QOL(生活の質)の維持・向上:
- 痛みなどの苦痛を和らげる
- 心理的・精神的な安らぎを提供する
- 残された時間を充実させる支援
家族へのサポート:
- 家族の心理的負担の軽減
- グリーフケア(悲嘆のケア)の提供
- 看取りのプロセスへの参加支援
終末期ケアの3つのアプローチ
終末期ケアには主に3つのアプローチがあります。
緩和ケア:
- 痛みや不快な症状を和らげることに重点
- 身体的苦痛だけでなく、精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛にも対応
- 終末期だけでなく、診断時から始められる
ホスピスケア:
- 治癒が見込めない状態の方へのケア
- 生命を延ばすことよりも、生活の質を重視
- 家族も含めたケアを提供
エンド・オブ・ライフ・ケア:
- 人生の最終段階における包括的なケア
- 医療、介護、福祉、心理的サポートを統合
- 本人と家族の希望に沿ったケア計画の立案
札幌市の看取りの現状
札幌市における看取りの現状は以下のようになっています。
死亡場所の変化:
- 病院死: 約75%(全国平均より高い)
- 施設死: 約10%(増加傾向)
- 在宅死: 約13%(微増傾向)
- その他: 約2%
看取り対応施設の状況:
- 特別養護老人ホーム: 約80%が看取り対応
- 介護付き有料老人ホーム: 約60%が看取り対応
- グループホーム: 約50%が看取り対応
- サービス付き高齢者向け住宅: 約40%が看取り対応
医療資源:
- 在宅療養支援診療所: 約120か所
- 訪問看護ステーション: 約200か所
- 緩和ケア病棟: 5か所
札幌市では、高齢化の進行に伴い、施設での看取りニーズが高まっています。特に冬季の厳しい気候条件から、在宅での看取りが難しいケースも多く、施設での看取り体制の充実が求められています。
札幌市内の看取り対応施設の種類
札幌市内には様々な種類の看取り対応施設があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、公的な介護施設で、看取り対応の体制が整っている施設が増えています。
特徴:
- 24時間介護体制
- 医療連携体制加算を取得している施設が多い
- 看取り介護加算を算定している施設が増加
- 多職種連携によるチームケア
看取り対応の状況:
- 札幌市内の特養の約80%が看取り対応
- 看取り指針を策定している
- 看護師の24時間オンコール体制
- 協力医療機関との連携
メリット:
- 費用が比較的安い
- 終身利用が可能
- 介護度の重い方でも受け入れ可能
- 経験豊富なスタッフが多い
デメリット:
- 入所待ちが長い
- 医療的ケアの範囲に限界がある
- 個室が少ない施設もある
札幌市内では、中央区、北区、東区などに看取り実績の多い特養があります。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、民間運営の施設で、サービスの質や医療連携体制が充実している施設が多いです。
特徴:
- 24時間介護・看護体制
- 個室が基本でプライバシーが確保される
- 医療機関との連携が強い施設が多い
- 看取り専用の部屋を設けている施設も
看取り対応の状況:
- 札幌市内の介護付きホームの約60%が看取り対応
- 医療連携体制が充実している施設が多い
- 看護師の配置人数が多い傾向
- 看取り経験のあるスタッフの配置
メリット:
- 個室でプライバシーが確保される
- 医療的ケアの範囲が広い
- 家族の宿泊設備がある施設も
- 柔軟な面会対応
デメリット:
- 費用が比較的高い
- 施設によってケアの質に差がある
- 医療依存度が高くなると退去を求められる場合も
札幌市内では、医療機関が近い中央区、北区の施設や、大手チェーンの運営する施設に看取り実績が豊富な施設が多いです。
グループホーム
認知症の方を対象としたグループホームでも、看取り対応を行う施設が増えています。
特徴:
- 少人数制(9名または18名)
- 家庭的な環境
- 認知症ケアに特化
- なじみの関係の中での看取り
看取り対応の状況:
- 札幌市内のグループホームの約50%が看取り対応
- 訪問看護との連携が強い
- 協力医療機関による往診体制
- 看取り研修を受けたスタッフの配置
メリット:
- なじみの環境で最期を迎えられる
- スタッフとの信頼関係が築かれている
- 家族的な雰囲気での看取り
- 認知症の方の特性に配慮したケア
デメリット:
- 医療体制が十分でない場合がある
- 夜間の看護体制が弱い場合も
- 重度の医療依存がある場合は対応困難
札幌市内では、訪問看護ステーションとの連携が強いグループホームや、医療法人が運営するグループホームに看取り実績が多い傾向があります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅は、近年増加している住宅型の施設で、医療連携型のサ高住では看取り対応を行っているところもあります。
特徴:
- 「住宅」という位置づけ
- 外部サービスを利用したケア
- 訪問診療・訪問看護との連携
- 自宅に近い環境での看取り
看取り対応の状況:
- 札幌市内のサ高住の約40%が看取り対応
- 医療連携型のサ高住が増加
- 訪問診療クリニックが併設されている場合も
- 24時間対応の訪問看護との連携
メリット:
- 自宅に近い環境で最期を迎えられる
- 医療サービスを柔軟に選択できる
- プライバシーが確保される
- 比較的新しい施設が多い
デメリット:
- 施設によってケアの質に大きな差がある
- 医療連携体制が不十分な場合も
- 看取り経験の少ないスタッフの場合も
札幌市内では、医療法人が運営するサ高住や、訪問診療クリニックが併設されたサ高住に看取り実績が多い傾向があります。
医療機関(緩和ケア病棟・療養病床)
医療ニーズの高い方の看取りには、医療機関の緩和ケア病棟や療養病床も選択肢となります。
特徴:
- 医療的ケアが充実
- 医師・看護師の24時間体制
- 痛みのコントロールが専門的
- 緩和ケアの専門チーム
札幌市内の状況:
- 緩和ケア病棟: 5か所(約100床)
- 療養病床: 約20か所(約1,500床)
- がん専門の緩和ケア: 3か所
- 非がん疾患の緩和ケア: 2か所
メリット:
- 高度な医療的ケアが受けられる
- 痛みなどの症状コントロールが専門的
- 急変時の対応が迅速
- 専門的なグリーフケア
デメリット:
- 病院という環境
- 長期入院が難しい場合も
- 費用負担が大きい場合も
- 入院待ちがある場合も
札幌市内では、札幌厚生病院、手稲渓仁会病院、札幌南徳洲会病院などに緩和ケア病棟があります。
施設での看取りと在宅での看取りの違い
施設での看取りと在宅での看取りには、それぞれメリット・デメリットがあります。
施設での看取りのメリット
施設での看取りには以下のようなメリットがあります。
専門的なケア:
- 介護・看護の専門スタッフによるケア
- 24時間の見守り体制
- 緊急時の対応が迅速
- 多職種連携によるチームケア
家族の負担軽減:
- 身体的介護の負担がない
- 精神的な負担の軽減
- 仕事と介護の両立が可能
- 専門家による家族へのサポート
環境面:
- バリアフリー環境
- 医療機器の整備
- 看取りに適した環境整備
- 札幌の厳しい冬季でも安心
札幌市の場合、冬季の厳しい気候条件から、在宅での看取りが難しいケースも多く、施設での看取りを選択する家族が多い傾向があります。
施設での看取りのデメリット
一方で、施設での看取りには以下のようなデメリットもあります。
環境の違い:
- 自宅ではない環境
- プライバシーの制限
- なじみの物に囲まれていない
- 家族との時間が限られる場合も
ケアの個別性:
- 施設のルールに制約される
- 完全に個別化されたケアが難しい場合も
- スタッフによってケアの質に差がある
- 本人の希望がすべて叶えられるわけではない
費用面:
- 施設利用料の継続的な負担
- 看取り期の追加費用
- 医療費の自己負担
- 家族の面会にかかる交通費など
これらのデメリットを最小限にするためには、施設選びが重要になります。
在宅での看取りとの比較
在宅での看取りと比較すると、以下のような違いがあります。
医療・ケア体制:
- 施設: 24時間の専門スタッフ体制
- 在宅: 訪問サービスの組み合わせ
家族の関わり:
- 施設: 面会時間内での関わり
- 在宅: 24時間の密接な関わり
環境:
- 施設: 医療・介護に適した環境
- 在宅: なじみの環境、プライバシーの確保
費用:
- 施設: 施設利用料+医療費
- 在宅: 訪問サービス利用料+医療費+介護者の負担
札幌市の場合、冬季の通院や訪問サービスの確保が難しいことから、在宅での看取りには特有の困難があります。そのため、施設での看取りを選択するケースが多くなっています。
看取り対応施設の選び方
看取り対応施設を選ぶ際のポイントをご紹介します。
医療連携体制をチェック
看取りには適切な医療連携体制が不可欠です。
協力医療機関の体制:
- 24時間対応の往診体制があるか
- 緊急時の対応方針
- 定期的な回診の頻度
- 看取り経験が豊富な医師か
看護体制:
- 看護師の配置人数と時間帯
- 夜間のオンコール体制
- 看護師の看取り経験
- 医療処置の対応範囲
訪問看護との連携:
- 訪問看護ステーションとの連携状況
- 24時間対応の訪問看護の利用可否
- 看取り経験豊富な訪問看護師の有無
- 施設スタッフとの情報共有体制
札幌市内では、医療法人が運営する施設や、訪問診療クリニックと連携が強い施設は、医療連携体制が充実している傾向があります。
スタッフの看取り経験と研修体制
スタッフの看取りに関する経験や研修体制も重要なポイントです。
看取り経験:
- 施設全体の看取り実績数
- 年間の看取り件数
- 様々な疾患での看取り経験
- 看取りケアの事例集の有無
研修体制:
- 看取りに関する定期的な研修
- エンド・オブ・ライフ・ケアの専門研修
- 緩和ケアの基礎知識研修
- グリーフケアの研修
多職種連携:
- 医師、看護師、介護士、ケアマネジャー、栄養士などの連携
- カンファレンスの定期開催
- 情報共有の仕組み
- 家族も含めたケア会議
施設見学の際には、看取りの実績や研修体制について具体的に質問することをお勧めします。
看取り指針と個別ケア計画
施設の看取り指針と個別ケア計画の内容も確認しましょう。
看取り指針:
- 施設の看取りに関する基本方針
- 医療機関との連携方針
- 急変時の対応方針
- 家族への支援方針
個別ケア計画:
- 本人・家族の意向確認プロセス
- アドバンス・ケア・プランニングの実施
- 定期的な計画の見直し
- 症状の変化に応じた柔軟な対応
意思決定支援:
- 本人の意思確認方法
- 意思表示が難しい場合の対応
- 家族との合意形成プロセス
- 倫理的配慮
看取り指針が明確で、個別ケア計画が丁寧に作成される施設は、看取りケアの質が高い傾向があります。
家族サポート体制
看取り期の家族サポート体制も重要な選択基準です。
面会環境:
- 柔軟な面会時間設定
- 看取り期の24時間面会対応
- 家族の宿泊設備
- プライバシーに配慮した面会環境
家族ケア:
- 家族への定期的な状況説明
- 心理的サポート体制
- グリーフケア(死別後のケア)
- 家族同士の交流機会
情報提供:
- 状態変化の迅速な連絡
- 看取りのプロセスに関する説明
- 選択肢の提示と意思決定支援
- 死後の手続きに関する情報提供
札幌市内では、家族サポート体制が充実している施設として、家族会を定期的に開催している施設や、グリーフケアに力を入れている施設があります。
施設の環境と雰囲気
施設の環境や雰囲気も、看取りの質に影響します。
居室環境:
- 個室の有無と広さ
- 看取り専用の部屋の有無
- 家族が過ごせるスペース
- 持ち込み家具の許可範囲
共用環境:
- リビングなどの共用スペースの雰囲気
- 自然光の入り具合
- 静かに過ごせる場所の有無
- 季節感を感じられる工夫
スタッフの対応:
- 入居者への声かけや態度
- 家族への対応
- コミュニケーションの丁寧さ
- 忙しさの中でも余裕があるか
施設見学の際には、実際の環境を確認し、スタッフの対応や入居者の表情などから雰囲気を感じ取ることが大切です。
看取り・終末期ケアにかかる費用
看取り・終末期ケアには、通常の施設利用料に加えて、特有の費用がかかる場合があります。
施設タイプ別の基本費用
施設タイプ別の基本的な月額費用は以下の通りです。
特別養護老人ホーム:
- 多床室: 月額約8〜12万円
- ユニット型個室: 月額約12〜15万円
- 看取り期の追加費用: 介護保険の範囲内(看取り介護加算)
介護付き有料老人ホーム:
- 月額約15〜30万円
- 看取り期の追加費用: 施設による(0〜5万円程度)
- 医療費: 別途自己負担
グループホーム:
- 月額約12〜18万円
- 看取り期の追加費用: 介護保険の範囲内(看取り介護加算)
- 医療費: 別途自己負担
サービス付き高齢者向け住宅:
- 月額約10〜20万円
- 看取り期の追加費用: 訪問看護・訪問診療の利用頻度による
- 医療費: 別途自己負担
看取り期に発生する追加費用
看取り期には、以下のような追加費用が発生する場合があります。
医療関連費用:
- 訪問診療料: 月2〜4回で月額約1〜2万円(1割負担の場合)
- 訪問看護料: 週2〜3回で月額約1〜3万円(1割負担の場合)
- 医療処置費: 処置内容により異なる
- 薬剤費: 症状緩和のための薬剤費
介護関連費用:
- 看取り介護加算: 日額約1,500円程度(1割負担で約150円)
- 特別な介護用品: おむつ代、清拭用品など
- 体位変換用具のレンタル: 月額約5,000〜10,000円
- 特別食の提供: 施設による
その他の費用:
- 家族の宿泊費: 施設による(0〜5,000円/泊程度)
- 看取り室使用料: 施設による(0〜3万円程度)
- 死後の処置費: 施設による(0〜3万円程度)
- 退去時の原状回復費: 契約内容による
公的支援制度
看取り・終末期ケアに関連する公的支援制度もあります。
介護保険制度:
- 看取り介護加算
- ターミナルケア加算(訪問看護)
- 末期がん患者の要介護認定の特例
医療保険制度:
- 在宅ターミナルケア加算
- 訪問診療料の加算
- 高額療養費制度
札幌市独自の支援制度:
- 札幌市高齢者在宅医療・看取り支援事業
- 札幌市介護サービス等利用者負担軽減事業
- 札幌市高齢者等住宅改修費助成事業
これらの制度を活用することで、経済的負担を軽減できる場合があります。ケアマネジャーや施設の相談員に相談してみましょう。
施設での看取りに関する家族の心構え
施設での看取りに際して、家族が心構えておくべきことをご紹介します。
事前の話し合いと意思確認
看取りに向けた事前の話し合いと意思確認が重要です。
本人の意思確認:
- 元気なうちに希望を聞いておく
- 治療に関する希望
- 最期を迎えたい場所
- 宗教的・文化的な希望
家族間での合意形成:
- 家族全員での話し合い
- キーパーソンの決定
- 連絡体制の確認
- 意見の相違がある場合の調整
施設・医療者との情報共有:
- 本人・家族の希望の伝達
- 急変時の対応方針の確認
- 延命治療に関する意向
- 看取りの場所の確認
これらの話し合いは、できるだけ早い段階で行っておくことが望ましいです。
看取り期の関わり方
看取り期の家族の関わり方についてのアドバイスです。
面会の頻度と時間:
- 可能な限り頻繁に面会する
- 状態の変化に応じて調整
- 施設の面会ルールの確認
- 遠方の家族の面会計画
コミュニケーションの取り方:
- 意識がある場合の声かけ
- 意識がない場合でも話しかける
- 触れる、手を握るなどのスキンシップ
- 思い出話や感謝の言葉を伝える
ケアへの参加:
- 家族ができるケアの確認
- 口腔ケアや清拭の手伝い
- 好みの音楽をかける、写真を飾るなど
- 食事介助や水分補給の手伝い
家族の関わりは、本人の安心感につながります。施設スタッフと相談しながら、無理のない範囲で参加しましょう。
看取り後の対応
看取り後の対応についても心構えておくことが大切です。
看取り直後の流れ:
- 施設での看取り後の手続き
- 医師の死亡確認
- エンゼルケア(死後の処置)への参加可否
- 退所手続きのタイミング
葬儀・法事の準備:
- 事前に葬儀社を決めておく
- 葬儀の規模や形式の検討
- 宗教者への連絡
- 参列者への連絡方法
グリーフケア:
- 悲嘆のプロセスを理解する
- 家族同士のサポート
- 専門家によるグリーフケア
- 遺族会などの支援グループ
看取り後の悲嘆は個人差があり、時間をかけて向き合うことが大切です。
事前に考えておくべきこと(アドバンス・ケア・プランニング)
人生の最終段階に向けた準備として、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が重要です。
アドバンス・ケア・プランニングとは
アドバンス・ケア・プランニングは、将来の医療やケアについて前もって考え、話し合い、共有するプロセスです。
基本的な考え方:
- 本人の価値観や希望を中心に置く
- 継続的なプロセスとして捉える
- 家族や医療・ケアチームとの共有
- 状況の変化に応じた見直し
ACPの内容:
- 医療やケアに関する希望
- 代理意思決定者の指名
- 延命治療に関する希望
- 生活の質に関する価値観
ACPの進め方:
- 元気なうちから少しずつ考える
- 家族や信頼できる人と話し合う
- 医療・介護の専門家に相談する
- 文書化して関係者と共有する
事前指示書の作成
事前指示書は、自分の意思を文書化したものです。
事前指示書の種類:
- リビングウィル(延命治療に関する意思表示)
- 医療に関する指示書
- 代理人指名書
- POLST(医師による医療指示書)
作成のポイント:
- 具体的な状況を想定する
- 医療・介護の専門家のアドバイスを受ける
- 定期的に見直す
- 家族や医療者に内容を伝える
保管と共有:
- 原本の保管場所
- 家族や代理人への写しの配布
- かかりつけ医への提出
- 施設入所時の提出
札幌市では、「私の心づもり」という名称のACPノートが配布されています。これを活用するのも良いでしょう。
終活との連携
看取りの準備は、広い意味での「終活」の一部です。
財産管理と相続:
- 遺言書の作成
- 財産目録の作成
- 相続に関する家族との話し合い
- 成年後見制度の検討
葬儀・埋葬の希望:
- 葬儀の形式や規模
- 埋葬方法(火葬・土葬)
- お墓や納骨の希望
- 費用の準備
デジタル終活:
- SNSアカウントの取扱い
- デジタル写真や動画の整理
- パスワードリストの作成
- オンラインサービスの解約方法
思い出の整理:
- 写真や手紙の整理
- 思い出の品の整理と譲渡先の指定
- 自分史の作成
- メッセージの残し方
終活を通じて、自分の人生を振り返り、整理することは、残される家族への大切な贈り物になります。
札幌市の看取り支援制度
札幌市には、看取りを支援するための様々な制度やサービスがあります。
札幌市の看取り関連施策
札幌市が実施している看取り関連の施策をご紹介します。
札幌市高齢者在宅医療・看取り支援事業:
- 在宅医療・看取りに関する市民啓発
- 医療・介護従事者向け研修
- 在宅医療・看取りネットワークの構築
- 相談窓口の設置
札幌市アドバンス・ケア・プランニング推進事業:
- 「私の心づもり」ノートの配布
- ACP普及啓発セミナーの開催
- 医療・介護従事者向けACP研修
- 市民向け出前講座の実施
札幌市在宅医療・介護連携支援センター:
- 医療・介護の連携支援
- 在宅医療・看取りに関する相談対応
- 地域の医療・介護資源の情報提供
- 多職種連携研修の実施
これらの施策を通じて、札幌市は看取りに関する環境整備を進めています。
相談窓口と情報源
看取りに関する相談窓口や情報源をご紹介します。
公的相談窓口:
- 各区の地域包括支援センター
- 札幌市在宅医療・介護連携支援センター
- 618-3715
- 各区保健福祉部
- 札幌市コールセンター(年中無休)
- 222-4894
民間の相談窓口:
- 札幌ホスピスケア研究会
- 615-6060
- 北海道緩和ケア研究会
- 各医療機関の相談窓口
- 各施設の相談員
情報源:
- 札幌市公式ウェブサイト「在宅医療・看取り」ページ
- 「さっぽろ医療情報」ウェブサイト
- 「札幌市介護サービス情報」ウェブサイト
- 「私の心づもり」ノート(各区役所で配布)
これらの窓口や情報源を活用して、看取りに関する情報収集や相談を行いましょう。
地域の看取りネットワーク
札幌市内には、地域ごとの看取りネットワークも形成されています。
医療・介護連携ネットワーク:
- 各区の在宅医療・介護連携協議会
- 地区単位の多職種連携会議
- 訪問診療医のネットワーク
- 訪問看護ステーションのネットワーク
市民活動・ボランティア:
- 遺族会・グリーフサポートグループ
- 傾聴ボランティア
- 看取りカフェ(デスカフェ)
- 市民向け看取り講座
宗教者によるサポート:
- ビハーラ活動(仏教)
- チャプレン(キリスト教)
- 各宗派の終末期ケア
- 宗教者と医療者の連携
これらのネットワークを通じて、地域全体で看取りを支える取り組みが進められています。
まとめ
人生の最期をどこで、どのように迎えるかは、本人と家族にとって重要な選択です。札幌市内には様々な看取り対応施設があり、それぞれの特徴を理解した上で、本人の希望や状態に合った施設を選ぶことが大切です。
施設での看取りを選択する際には、医療連携体制、スタッフの看取り経験と研修体制、看取り指針と個別ケア計画、家族サポート体制、施設の環境と雰囲気などを総合的に評価しましょう。また、看取り・終末期ケアにかかる費用や、家族の心構え、アドバンス・ケア・プランニングについても事前に理解しておくことが重要です。
札幌市には看取りを支援するための様々な制度やサービス、相談窓口があります。これらを活用しながら、本人と家族が納得できる看取りの場を選び、その人らしい最期を迎えるための準備を進めていきましょう。
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